- 北の大地へ 釧路偏 - 2007.9.12〜13 さて、北海道の旅三日目は、残念ながら曇りだった。
屈斜路湖近くの宿に泊ったので、霧の摩周湖にでもとりあえず行ってみようかと思った。 しかし、昨夜は車で走った走った。 中標津の牧場地帯を、10数キロも直線道路をひたすら走る。 やっと曲がり角まで行くと、また15キロくらい直進。 周りは360度の広大な丘陵地が広がる。 暗くなり、少し町並みが見え出し、バックミラーを見ると赤いサイレンが光っていた。 おっと、やばい! と、一瞬思ったが、後ろに着いていたバイクだろうか、白バイに捕まっていた。 制限50キロの道路を、とにかく80キロを越えないように心がけているが、気付けばそれを越していることがある。 たまに物凄いスピードで越していく地元の車があるが、地元の人間はどこに白バイがいるか分かっているらしい。 そんな感じで3日目も車で走っていると、馬がいる牧場があった。 ちょっと寄ってみると、この牧場では馬に乗れますとの事だ。 まさか馬に乗るとは思わなかったが、ちょっとだけ乗せてもらう事にした。 サラブレッドとは全然違うかと思うが、目線はかなり上にある。 馬にまたがりトコトコと牧場を一周する。 その後ろに、子馬が着いてきてなかなか可愛かったが、途中この母親のした糞をクンクンと嗅いでいた。 たまに、子馬はその糞を食べますよと、牧場の女の子は言っていた。 しかしその女の子は、北海道の人ではなく出身は栃木で、今は学生で夏場の短期間ここで働いているらしい。 どうやら、その他の牧場も人手が足りないのか、そういう形を取っているみたいだ。 乗馬を楽しんだ後は、山道を登り摩周湖へ。 意外と標高は600メーターと高く、やはり霧が立ち込めてきた。 8月はそうではなかったが、9月はやたらと曇りの日が多いらしい。 どうも摩周湖を世界遺産にしようという試みがあるみたいだが、なるほどなかなか神秘的な眺めだった。 なぜ神秘的に見えるかと言うと、湖には遊覧船などが一切なく、しんと静寂しているからだ。 青い空の下では、さぞかし綺麗なんだろう。 そして、また峠を一つ越えて、遊覧船が沢山行きかう阿寒湖に向かう。 この阿寒湖周辺は、ここは由緒正しい観光地ですよ、と言ったローカリーな感じが漂っている。 お土産やさんも沢山軒を連ね、あの生産中止になった名物お菓子も、大々的に取り扱っている店もあった。 阿寒湖 お土産と言えば、僕はアイヌのお土産店で、一つ目に留まったものがあった。 それは木彫りのトレイみたいな物で、凝った彫刻がしてある所は青く、そしてその脇に銅が装飾されている。 おお、コレハコレハと思って値段を見ると8千円近い。ううむ。 8千円もあれば、ハンバーガーが何個食えるんだよと思っていると、店のおばさんがチョコチョコ近寄ってきた。 僕が、高いなあ...でも欲しいなあ...と悩んでいるのを、横から良かったら少しまけますよと言ってくれた。 ここは一つ、オーサカのオバチャンみたいに、「もっとまけといてえな」とやれば良のだが、手作りの品物なので有難く購入した。 もう一つ、オショロコマやイトウなどの淡水魚のリアルな木彫りの置物があった。 コレもなかなか良かったが、やはり値段が高い。 せめて写真だけでもと店のオヤジに言うと、涼しい顔で写真ダメと言われてしまった。 それでも、この辺りの店の人は、とてもフレンドリーに声を掛けて来る。 この阿寒湖ではなかなか釣り人も多く、そういった魚の置物もいろいろある。 釣り人を相手にした店で聞いてみたら、朝夕なら桟橋からでも釣れるとの事だった。 何だ、それならタックル持って来ればと少し後悔した。 この辺りのホテルは、何だか一昔前の熱海的な趣のあるホテルが多い。 その一つのホテルに泊り、大食堂で夕飯を食べていると、ドレスを着たアジア系の女の人が現れて歌を歌い始めた。 英語の歌でなかなか上手かったけど、終いには各テーブルに握手を求めに来る有様だ。 さすがにトランポリンショウは無かったけど、地下にある大宴会場のステージではそういうものが未だにやっていそうだった。 屋上にある露天風呂はなかなか良く、この阿寒湖周辺はやはり北海道の熱海と言った感じだろう。 北海道は、なんと言っても魚介類が美味い。 何を食っても美味いのだが、特に感心したのは鮭だ。 刺身でもマリネでも焼いても何でも美味い。 鮭も北海道の沖合いで捕れるから、鮮度が良いのかも知れない。 だから、羅臼での何気ない店のイクラ丼でも特別に美味いのだ。 最終日は青空が戻ってきた。 釧路湿原まで、車のナビゲーションに頼っていたが、何故か分からないが林道を行くコースを選びやがった。 途中まで行って、コレはいくらなんでもと思い、また引き返した。 別にナビゲーションに頼らなくても問題ないので、予定通りマリモ街道をひたすら下った。 釧路湿原は、日本初のラムサール条約登録地。 何だか、湿原と言うよりは、広大なゴルフ場に見える。 走っている途中に、草原につがいの鶴を見つけた。 何食わぬ顔で、徐々にこちらに近づいてくる。 しかも馬が草を食んでいる近くにまで来る平然さだった。 その鶴の優美さに少し見とれてしまった。 とにもかくにも、北海道は広すぎる。 その為では無いが、あまり最果てのイメージはさほどなかったのは、物流や情報システムが発展したせいだろうか。 国立公園も多数あり、道東だけでも4日間で廻ろうなんてのはちょっと物足りない気がしないでもない。 どうせなら存分に楽しむために、少しの間滞在したいなというのも正直なはなしだ。 という事で、少し後ろ髪を引かれつつ、旅は終わりに近づいていた。 もどる |