- 熊野灘 -


2009.9.23〜25



3日間を使って、和歌山を旅行してきた。
枯れ木灘、熊野灘、そして世界遺産の熊野を巡る旅である。

羽田から南紀白浜空港まで、1時間も掛からないで到着。
そこから車を借り、串本を目指し適当に走る。
半島を走るわけだから、山、海、また山、そして海と、目まぐるしく風景が変わる。
海はとても穏やかで、のんびりしていた。
多分、連休時は人や車も沢山あったと思うのだが、シーズンをちょっと外したのが良かったのだろう。





季節は秋であったが、まだ蝉も鳴いていて、秋というより夏の気候であった。
途中、漁港や漁村に寄り道をしたりする。
車道と平行するように、単線の電車も走っている。
あまり本数が無いのか、なかなか走っているのを見ることが出来ない。
この紀勢本線が結ぶ街は、あまり人影が見られない。
いや、それは東京の人口密度の高さと比べればの話だが。





そして、結構目立つのが、『オークワ』というスーパーマーケット。
どの街にも必ずある、庶民の味方。
鮮魚コーナーはさすがで、やはり鯨の肉も売っていた。
串本では24時間営業だったり、この界隈を牛耳っている。


枯木灘は中上建次の小説で有名だが、ここはリアス式海岸になっていてその造形美が美しい。
三浦半島や、ましてや料金所が至る所にある伊豆半島とはやはり違う。





次の日は、船で沖に向かい、鯨を見る予定だ。
和歌山沖は黒潮の影響で、鯨が頻繁に現れるホエールウォッチングのメッカなのだ。
しかし、いざ釣り船やに行くと、北東の風が強く出船は難しいとの事。
釣り船屋の主人は、「もう少し思案してみるから、ちょっと待っててや」と検討してくれた。
それで何とか出船できるだろうと、船を出してくれた。

湾内では一見穏やかに見える海も、沖に出れば波が高い。
僕はミヨシを陣取り(ミヨシは波をかぶりづらいから)、鯨を探す。
沖に向かって、荒波をガツンガツンと越えていくから、物凄い揺れる。
(お尻がフワリと50センチも浮いてしまったほどだった)

船長さん(主人の息子さんなのかな?)曰く、一旦沖に出てから、風を背にして風裏を取るとの事だ。
そうすると、船はあまり波の影響を受けないですむ。

波があるときに鯨を探すのは難しい。
波が立っているのか、鯨が潮を吹いているのか分からないからだ。
そう言った意味で、風が吹くと出船は困難だと言ったのだろう。





途中、マンタが飛んだと言ったが、僕には全然分からない。
とにかく鯨の鰭を探せという事で、茫洋とした海原をずっと目を凝らしているわけだから、目がおかしくなって来る。
そんな中で、船長さんが「あそこに居る!」と叫んだものだからこれは居ても立っても居られない。
え!?何処何処?と指差した方向を見ても、時遅し。
僕は、ビニールに包んだカメラを構えたが、一瞬の出来事だった。
ウチの人も一瞬頭か何かを見たと言ったが、僕はまるっきり分からなかった。

結局、そのツアーはホエールウォッチングと言うよりも、荒波漁船体験ツアーとなってしまい、
(薬を飲んだにもかかわらず)最後にはちょっと船酔い気味になってしまった。

まあ、殆ど貸切状態で船を出してくれたから、贅沢は言えない。
時期も時期なので、鯨はまたリベンジしたいものだ。





漁港とか、河口なんかも沢山あるので、釣りもした。
墨を吐いた後もあったので、エギングの真似事もした。
悔しかったのは、メッキか何かのチェイスが頻繁にあったのだが、喰わせ切れなかった事だ。
でも、フエフキやメバルなどが釣れたので、一応タックルを持っていたのは良かった。
と言うか、これだけ海があるから、もっとしっかりしたタックルを持っていくべきだった。





綺麗な河口で、ハットを被ったおじさんが一人釣りをしていた。
何を釣っているのかなあと思ったら、ジグでシーバスを釣っている。
「去年は結構釣れたんだけど」との事で、まさかシーバスを釣っているとは思わなかった。

河口の線路脇では、若者が電車を写真に収めようと、長い時間待っていた。
なかなか良いところなので、僕もこのままずっとここで釣りをしていたかった。



串本大島にある漁村


漁村も平和的に時が流れている。
この辺一体は、近畿大学が初めてマグロの養殖に成功したとあり、養殖所が沢山ある。
スクールバスから降りてきたちょっと太目の少年は、おもむろに港に向かって豪快に小便をしやがった。
おいおい、自分達が食べる魚が泳いでるんだぞと言ってやりたかったが、たぶんそれが日常の日課になっているのだろう。


和歌山はそんな海も良いが、奥深い山も魅力的であった。
その半島の殆どが山で、(日本という国がそうである様に)平野が少ない為、住む所も限られるから人口も少ない。
そんなポツンポツンと集落がある谷間を縫うように、やたらとトンネルが多い道を半島を北上する。



綺麗な熊野川と集落





和歌山に来たもう一つの目的は、熊野古道。
熊野古道と言っても、空港で貰ったパンフレットを見る限り、沢山のコースがあるらしい。
一体、何処に行けば良いのか分からないので、マズは那智の滝を見に行く。

那智の滝の付近は、さすがに世界遺産(2004年に登録された)だけあって、観光客も凄い。
その観光客の為に、滝の近くでスピーカーからアナウンスが流れているのだが、これは絶対やめた方がいいと思う。
折角の神秘的な雰囲気が、馬鹿みたいな音量でぶち壊しになっている。



水量は幾分少なめ


滝は、近くで見るよりも遠目で見たほうが良い。
でもなぜ人は、ただ水が上から下に落ちるだけのものを、これ程にも崇めているのだろう?
そこに水の有り難さを思うのか、それとも重力による美しさを感じるのか、まあ不思議なものだ。

そこから、また車でさらに北上し、本宮エリアに進む。





熊野本宮大社は、とても神々しかった。
赤く染められた神社なんかよりも、木の美しさをそのまま残した感じが良い。
空も蒼く、じっとりと汗を掻いてしまった。


白浜に戻る道を走っていると、所々のわき道に、熊野古道入り口と書いてあったので入ってみた。
特に観光地では無いので、人も居なく涼しげで静かだった。





かなり整備されているのだろう、道は綺麗になってた。
もしこの古道を歩いて、高野山や吉野へ行くには、かなり時間が掛かるだろう。
僕は、その一部を垣間見ただけだが、昔からの自然と人との関わり合いに触れることが出来たような気がした。





それにしても関西の人は、みんな声がでかい。
声がでかく、気さくで、フレンドリーだ。
悪く言えば、おせっかいであるし、図々しいというか馴れ馴れしい。

そして、羽田空港に着いた瞬間に、足早になっている事に気づく。
東京の街は騒がしく、人が多いなあとつくづく感じる。










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