- バットレス -

2004.10.12


 
まず、登山口に立つのが今回は大変だった。
台風22号だ。
トラブルは続くもので、スタート地点に着いたのは昼ぐらいであった。
まだ、この時点では日の光が有り山頂付近まで見えていたが、次第に霧が発生した。
正直「またか...」と思った。
 
霧と雨のせいで、途中の食事も楽しむことも出来ず、黙々と今夜泊まる山小屋を目指す。
登山道は、いったいどこから湧き出ているのかと思えるほど、いたる所から湧き水が流れている。
前日に降った大雨のせいだろうか。





予定よりも1時間早く山荘に到着。
南アルプスらしく味のある、いかにも山小屋と言った山荘だ。








山荘にはわずかな登山客しか居らず、寒いのでみんなでストーブを囲んで、互いに情報交換や雑談を楽しむ。
みんな山が好きなのだ。
たまにはこう言うアットホームなのも良い。
気になるのは明日の天気のこと。
寒いので毛布を3枚掛けて寝る。
明け方近く、屋根に落ちる雨音で目が覚めた。

 
夜明け前、小雨と霧の中、北岳の山頂を目指す。
山頂に到達すると、ものすごい突風とヒョウに気がめいってしまう。
手や顔は凍ってしまうくらい寒い。





その突風のせいなのか次第に雲が取れていくみたいだ。
長野県側を見ると青空が広がっている。
そして雨雲は徐々に取れていって、頭上に待ちわびていた青い空が見え出す。



北岳の山頂。寒い


重い荷物を北岳山荘に置かせてもらい、三脚とカメラだけかついで中白根山まで登る。
ここからの北岳は実に絵になる。
北岳の後ろには、甲斐駒ケ岳や鳳凰三山が広がっていて、まさに南アルプスを制したという感じに成る。
太陽に感謝だ!






北岳山荘で熱いコーヒーと朝食をとり体を温める。
台風が過ぎ去ったその日は、夕焼けが実に素晴らしかったらしい。
 
空は青空で実に気持ちが良いし、日差しのせいで暖かくなってきて風も無くなった。
つい先の天候が嘘のようだ。





北岳の巻き道を通り、八本歯ノ頭に向かう。
目の前には鳳凰三山が広がっている。
去年、向こう側からこちら側を見たので、今回は逆だ。
ゆっくり流れる雲が、風景をいっそう壮大なものにしている。




鳳凰三山


 
北岳の方から声が聞こえる。目を凝らすとバットレスと呼ばれる岩壁に人が居る。
この荒々しい岩壁がロッククライマーを惹きつけるのだ。
しかし、危険を冒してまで登る意味はあるのだろうか?
そう思ってしまうのは、彼らの世界感を知らないからだろう。







バットレスの上から人が降りてくる


たっぷりと風景を満喫した後、時間を掛けて下山する。
下山時に山小屋で一緒だった人達とすれ違う。
結局みんな、大体同じコースみたいだったな。
またどこかの山で会えればと思う。

                     
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