- 先駆者達 -


2004.8.23


夜明けと共に剣山荘を出発し、剱岳山頂にアタック開始。
昨日の霧はまだ取れていなく、薄暗い中の山道の先に、微かに見える山陰を目指す。
 
一般登山道では難所中の難所に入る剱岳。
同じように山頂を目指す登山者の中には、ヘルメットにヘッドランプという容姿が緊張感を誘う。
まるでこの先、何が待ち構えていようかタダナラぬ気配が漂っている。
しかしそれは日の出と共に消えた。
前を見るといきなり渋滞していたのだ。
 




団体さんのグループがワイワイガヤガヤやっていて足止めを食らった。
まあペースメーカーに成ってくれているし、先頭のガイドの人があれこれとアドバイスしている。
それと同じように登っていけばいいのである。

剱岳は山頂までに一服剱、前剱、剱岳と山を超えていかなければ成らない。
しかも所々は難所だらけで、毎年数名ががけ下に転落して命を落としている。
転落の他に落石が落ちてくる場合もある。
もちろん自分が落石を落としてもいけない。
そう言った難所は3点確保で慎重に進んでゆく。

しかしこれが、単純に登っていて楽しいのだ。
前日の立山は標高3000メーターの高さだが、単調だけに何の面白みも無い。
一方の剱岳は岩壁有り、鎖、ハシゴ、ガレ場と、体全身を使って登ってゆく感じだ。









85度のタテバイは、何が怖いかと言うと壁の途中で待たされるのが怖い。
下を見るまいと思っても見てしまう。
落ちたら地獄行きなのだ。
そんな箇所がいくつも有り、やっと頂上が近づく。



手ごわい壁だ


頂上へ着くと霧もいくらか取れて、富山湾や白馬岳などが見える。
他の登山者も歓声を上げているので、余計に達成感を味わう。





それに同じ目線で見える、白馬や鹿島槍ヶ岳の向こう側は、春先にスキーやスノーシューをやった場所。
なるほどこちら側はこうなっていたのかと感心する。
富山側の北方稜線側はかなり危険らしく通行止めになっているが、今回は縦走ではなくピストンをする。




富山湾が見えるよ





下山道は来た道と少し違う。
岩場だけに行きと帰りが一方通行なのである。
もちろん下りも難所だらけでまた渋滞が続く。








よく見ると岩壁にアリンコの様に人が張り付いている。
渋滞の原因がこれだったのかと、そこにすごい光景が広がる。








それにしても剱岳はでかくて格好が良い山だ。
名前も「剣」ではなく「剱」としているところが渋い。





今から何十年も前に、日本陸軍が三角点を打つために、何日もかけて登ったのが初登頂とされている。
しかし今では先人によりルートが定められて、一般の人でも登れるようになったから有り難い。




剱沢

また剣小屋を通り、豪快な剱沢を越え、また立山方面へ。
立山に着くころに雨が降ってきた。
タイミングが良いと言うか悪いと言うか、とりあえず登っている時に雨に降られなくて良かった。
悪天候だったら、剱岳登頂は危険な為に断念するしか無かったからだ。






渋滞や撮影で少し予定を狂わせたが、下山は思っていたより早く、難なく室堂に到着。
 
今回思ったことは、もちろん自然のすごさを感じたが、それ以上に人間の凄さにも感心させられた。
客観的に見ての岩壁に挑む他の登山者もそうだが、それを最初に登ったり、鎖やハシゴを取り付けた人。
もっと言えば、ここまでにく来る交通機関(例えばケーブルカーやトンネルなど)を建設した人。
それにやはり黒部ダムの建設だろう。






これからも人間は美しいもや豊かなものを求め、血を吐くような努力をし、未来の人間に夢を託すのであろう...なんてね。








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