- 雪のオブジェ -

2005.2.5


もしもの為の食料、飲料水、防寒着、アイゼン、あまり使わないがカメラの三脚。それと予備のバッテリー類。
それらを全て、Karrimorに詰め込む。
そいつを背負うと、肩にズシリと来る。

冬山は何だかんだ言いながら、荷物が増える。
一番かさばるのが、何といっても食料だろう。
まあ、食料は幾つあっても別に困ることは無い。
山中にコンビニエンスストアや、牛丼チェーン店があれば良いのだが...。

ピラタスを利用し、一気に2000メーターの雪の世界へ。
まぶしい!夏の太陽よりまぶしい。
午後の太陽が雪に降り注ぎ、その反射で目が痛くなる。

雪質は、サラサラとしていて、それが服に付いても手で払えばサラッと落ちる。
スキーでもやったほうが良いのではないか、と言うほどのパウダースノーだ。





最初に目に付いたのは、雪で覆われた樹林帯だ。
木の葉に雪が積もり、木と言うよりも、雪で創った何かの彫刻に見える。



雪のオブジェ


これだけ雪に覆われても生きているのだから、自然の生命力とは凄いものだ。
全てが雪で覆われているだけに、シンプルに見える世界。
しかし雪の下に豊かな自然を包み込んでいる。
だからこそ、その逞しさや豊かさが見えてくる。



おとぎの世界


それが分かるのは、少しでもコースを外してしまうと、ズボッ!と足が雪の中に埋まってしまうからだ。
1メーター以上も積もっているのだから、それもそのはず。
何回か肩口まで潜ってしまい、雪の下にある切り株で怪我をしてしまった。擦り傷だけど。

すでにトレースされている道を辿っていけば良いのだが、それでも少しでもズレると足がはまってしまう。
こんな状況ではアイゼンよりも、スノーシュウの方が適しているのだ。
まあ、結局アイゼンは使わなかったけど。





樹林帯を越え茶臼山の山頂に立つ。
物凄い突風だ。
風速何メートルだろう?まるで台風並みの風で、立っているのがやっとだ。

その風に耐え、原生林を挟んで見える八ヶ岳の主峰。
しかし、又しても雲が出て来ているではないか!
この八ヶ岳に関しては、遠くで見るときはすっきりと晴れているけど、
近くに寄れば寄るほど、天気が怪しくなったり、ガスが発生するのはなぜなんだ!?

ここは、かなり展望が開けてよいが、まさに地獄の1丁目と言う感じだ。
気合で数枚写真を撮り、極度の寒さと、強風に尻尾を巻き撤収。



目の前に八ヶ岳が見えるが、台風並みの風だ


仲間はあまり疲れなかったと言ったが、自分はかなりヘトヘトだった。
やっとの事で、峠にある麦草ヒュッテに到着。
テレマークスキーヤーと、イギリス人の団体さんで込み合っていたので、個室を借りた。
もしヒュッテに個室があるときは、個室を借りることをお勧めする。

コタツに入ったとたんに重い眠気が襲ってきた。





次の日も朝から晴天だ。
それにしても、ペットボトルの水が凍りっぱなしなのは参る。
バッテリーの減りも異様に早い。
それだけ寒いという事だ。
またズボズボと雪の落とし穴に落ちながら、高見石、中山を目指す。



高見石から見えた浅間山は迫力がある


八ヶ岳という山は、北アルプス、中央、南アルプス、それに秩父の山の中心にある為、その全てが見ることが出来る。
もちろん天気が良ければの話だが、2日目は風も穏やかな方だったし快晴だった。



風と雪で出来た、自然の彫刻


中山山頂から見る、北アルプス山脈


下山にいたっては、雪山の方が断然に楽だ。
ツルツルと滑っていけばよいわけだから。
気をつけ無くてはならないのが、すぐ脇が断崖絶壁に成っている所がある。
あまり調子に乗らないほうが良いだろう。



天狗岳を間近に見る


下山して思ったのは、やはり八ヶ岳は良い山だ。
その魅力はなんと言っても、火山帯らしいルックスだ。
そしてルートとしてもいろいろなバリエーションが豊富ということ。
今回は冬でも上りやすい北側だったが、今度は岩稜の南側にも挑戦したい。


それにしてもせっかく持ってきた防寒着やアイゼンは、最後まで使わなかった。

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