- 閉ざされたルート -


2005.6.12〜13


今回は、土合からスタートし、白毛門、笠ヶ岳、清水峠、一ノ倉岳、谷川岳と、谷川連峰を縦走する計画だ。
雨の日や、曇りの日が続いたが、運良くこの時期には珍しい好天候だ。



土合橋付近は綺麗な水が流れる



見る景色の半分以上は緑色で、生命感にあふれている。
あたり一面で、蝉の鳴き声が響き、その他沢山の種類の昆虫の鳴き声がする。



グリーンシャワー


ここから白毛門の頂上まで、約1000メーターの標高を登る。
暑い日差しと、梅雨時の湿度で、汗が滝のように流れる。



左手に谷川岳が見えるが、木が邪魔だ。


少し登ると、腕にまとわりついてくる虫がいる。
蚊の一種だろうか、一応防虫スプレーをかけたが、それでもうっとうしく付きまとってくる。
虫は山頂にもいる有様で、腕や首など数箇所刺された。




あと少しで白毛門の頂上だ


左手に、谷川岳が良く見える。
上り始めは幾分雲が掛かっていたが、次第にそれも取れてきた。

もともと予報では雨であったので、今回の計画も諦めていたのだが、予報が外れてくれて良かった。
この時期の天候は不安定なので、予報なんてのは信じないほうがいい。
と思いつつ、一応気にしているが。

谷川岳周辺には、あまり山小屋が無い。しかし、いくつか非難小屋がある。
我々は、その非難小屋を利用し、2日かけて谷川連峰を縦走する予定なのだ。
そのため、寝袋を用意しての山行となる。



白毛門山頂


山頂からの、谷川岳は迫力の展望だ。
一ノ倉沢も良く見える。



谷川岳


谷川連峰を見渡すと、今回歩く稜線が続いている。
ぐるりと回るような形で連なる稜線。まだ雪が積もっている箇所も有る。
果たして目の前にある谷川岳までたどり着けるか不安だ。
腕にまとわりつく虫を振り払い、白毛門を後にする。



笠ヶ岳


さらに高度を上げ、笠ヶ岳に向かう。
シャクナゲが至る所で咲いている。



笠ヶ岳山頂から見る谷川岳


この辺りで、持ってきた水が底を突いた。
予想以上に暑かったので、喉が渇くのだ。
どうしても軽量化の為に、荷物を減らそうと思うが、やはり水だけは沢山あったほうが良い。

遠くに、今回使う非難小屋も見えた。
まだ、少し距離が有りそうだ。
そこに行けば、とりあえず水場がある。我慢するしかない。



朝日岳。小さな青い非難小屋も見えるが、今回使うのはもっと先にある。


次は朝日岳に向かう。
稜線を歩いていくので、風景が良く見える。
ここからは、1人の登山者とも会わなかった。





この辺りは、縦走路が沢山有り、いろいろとコースがあるみたいだ。

朝日岳の山頂付近は、実に気持ちがよく、少し雲ノ平を思わせる。
草むらに座り込み、心地良い風を浴びる。
谷川岳も良く見えるが、少し曇ってきた。予報どおりだ。



反対側は、日光白根や尾瀬


後は、ジャンクションピークを一気に下る。
しかし、ここからが意外に長かった。
飲み水が無かったので、喉の渇きを我慢しながら足を進めた。



雲海が出ている


距離としては、3キロぐらいだろうか、登山は上りもきついが下りも実はきつい。
少しずつ霧も発生してきた。





雪が積もっているところも有り、その為登山道も隠れてしまう。
それで一時、道を外れてしまう。
よく周りを見ていないと、トレースを外してしまうので気をつけないといけない。
下ってきた道をまた登り、コースを探す。
これには少し参った。さすがに体力も消耗してきた。



監視小屋と、手前が非難小屋


やっとの事で非難小屋に到着。
すぐに水場を探さなくてはいけない。

しかし、雪で隠れてしまっているのか、なかなか水場が見つからない。
最悪、汚い雪を溶かして液体にするしかない。
そう思っていたら、相棒が雪解け水が流れているところを見つけた。
かなり少量に流れていて、喉が渇ききったせいもありこれが冷たくて非常にうまい。



プラティパスを使いボトルに移す



暗くなる前に水を確保できたので、ひとまず一安心だ。
次の日の朝は、微量しか流れていなかったので、水がいかに貴重なのか思い知らされた。



中は真っ暗。我々しかいなかったのでなんだか怖い


非難小屋は思った以上に暖かかった。
辺りは霧が出ていたので、明日の天気はあまり期待できない。
近くでカエルの鳴き声がしているほかは、何も聞こえない。
その音を聞きながらスリーピングバッグに潜り眠りについた。


次の日の朝は、やはり霧が発生していた。
とりあえず行ける所まで行こう。



よく見ると凄いところを歩いている


出来るなら、蓬ヒュッテまでは行きたかったが、予想以上に積雪がある。
そして、雪の壁が我々の行く手をさえぎった。登山道が雪で覆われていたのだ。



こりゃ無理だな


雪対策の装備もないし、ましてこの天候なので、滑落や道に迷う危険性がある。
我々は、谷川岳本体を目の前にして、引き返すしかなかった。
清水峠からのエスケープルートで、新潟県にある清水集落まで下山した。

途中に流れている川が増水していたので、冷たさを我慢して裸足で渡る。
だが、相棒は足を滑らせ、少し水に浸かってしまった。
あれほど水に困っていたのに、最後で水に浸かるなんて何とも皮肉なことだ。


危険を冒してまで、又は展望が望めないのに、頂上を目指す事は我々には出来ない。
またいつか挑戦すればいいだけの話だ。

そう思い谷川連峰を後にした。









メニューへもどる







































































































































inserted by FC2 system