- 2つの世界遺産(南イタリア紀行) -


2006.5.19〜26


さて、イタリアに来て天候には十分すぎるほど恵まれてる。
今頃日本は、雨が降っていたりジトジトしてるのかなあと思うと、申し訳なく思ってくる。
しかし、うだる様なとか焼けるようなまでは行かないが、イタリアの太陽は暑い。

ナポリに関しては、どうも汚くて少し怖いイメージのする街だったけど、やはり田舎の方へ行くとそういったイメージは無い。



広大な草原と、低山が目立つ。所々に赤い屋根の家が美しい。


日本で言うと、ある時は山梨県、ある時は北海道に見えてしまう。
しかし、日本と違うのは、圧倒的に川が少ないのだ。
日本は梅雨と言うものがあって、うっとうしい季節があるのはいやだけど、逆にあまり雨が少ないのも困る。
良いところもあるし、悪いところもあると言った感じだ。
まあ、その乾燥した土地では、小麦やオリーブやアーモンドが良く育つのだろう。


僕らはバスでアウトストライダーを走る。
ちなみにアウトストライダーとは日本で言う高速道路。もちろん有料だ。
この快適なアウトストライダーの他にヨーロッパハイウェイというのがある。
これは、隣接したヨーロッパ同士の各国を通る高速道路で、道路に対するちゃんとした規定があるらしい。

その高速道路の途中に良く見かけるのが、動物が火を噴いているマークのAGIP(アジップ)のガソリンスタンドである。
ナポリでのガソリンスタンドは、道路のちょっと脇にあり、日本と違ってかなり小規模スペースだった。
初めて見たときは「何だこれ?」と思ったが、さすがに高速道路のはちゃんとしている。
サービスエリアではなく、AOTO GRILL(オートグリル)と言う。

イタリアにはBAR(バール)という飲食をするところが沢山ある。
この国の人たちは、あまり朝食を取る人が少ないみたいで、そのかわりちょっとバールに寄ってエスプレッソを飲んでから会社に行ったりする。
そしてお昼ご飯を食べて、またバールへ行きコーヒーを飲んでおしゃべりをしてまた仕事をする。
そしてさらに仕事帰りに家路に着く前に、またバールによって何かのアルコールを飲んで家に帰るみたいだ。
バールはこの国の人達の、憩いの場でもあるのだ。
日本では一番近いのがカフェだろうが、あまりバール的存在が無いのではないか。

イタリア人はとにかくエスプレッソが好きで、沢山の砂糖を混ぜて飲む(日本人はそのまま飲む人が多いけど)。
とにかくいろいろ混ぜるのが好きみたいで、ミルクをかけたカプチーノ、そしてブランデーやさらにはレモンまで入れるみたいだ。
コーヒーを飲む平均回数は、世界でイタリアが一番多いのだ。

もともとイタリア発のエスプレッソはかなり苦く、僕はあまり飲もうとは思わない。
それにお湯を入れたカフェアメリカーノがやはり日本人好みだ。

とまあ話はそれたが、そのバールももちろんオートグリルにはちゃんとある。
もちろんチップ制のトイレットもちゃんとある(便座とか洗面台はかなり高め)。

そのバールで、暑くて喉が渇くから水を買う。
そして、少し高いがコーラもたまに買う。
コーラの他にはファンタオレンジが必ずある(ちなみにファンタオレンジはドイツが発生だ)。

買い方は、最初に品物を注文しお金を払って、そのレシートを貰ってからまた違うカウンターへ行き品物を受け取る。
なんだかめんどくさいが、バールで物を買う時はその様なやり方なので、初めは少し戸惑ってしまう。






バールにはエスプレッソなどの飲み物のほかに、この様な誘惑だらけの食べ物もある


そして、僕らは世界遺産でもある都市、マテーラに着いた。
さすがに田舎の方にも来ると、なかなか静かな街でゆったりとした時間が流れている。





空の色は青く、人々はみんな幸せそうだ。

この辺りの建物の壁は、白で統一されていてとても綺麗だ。
日本の古い建造物は大体において木造が中心だが、ヨーロッパは岩山が多いのか石の文明だ。

そんな街の一角の狭い迷路のような路地を進んでいく。



電話の看板がある路地を曲がったところに食堂があるみたいだ



角を曲がると狭く少し入り組んでいて...




階段を下がるとそこには...


今までせまい路地であったが、いきなり展望が開けた。
そこには、登山をしていてピークから眺める眺望と同じような感覚で、素晴らしい景色が広がっていた。
「これは、これは!」と感嘆な雄たけびを上げる。



重なり合うように並ぶ住居



まるで迷路のようなたたずまい。遠くに教会も見える。


素晴らしいの一言だ。
こんなにも素晴らしい場所だと想像もしていなかったから、なおさらだ。
この辺り一帯は凝灰石で出来た丘陵地帯で、それを利用して出来た住宅群で「サッシ」と言う。

しかし、この様な素晴らしい景観からは予想もつかないが、昔はここでの暮らしはかなり厳しいものであったらしい。
いまでも洞窟を掘って住居にしたものが残っている。
先人達の半分は、他の土地への移住を余儀なくされたが、今日はこのあまりにも美しい街に住まわれる方もいらっしゃるみたいだ。
いくつかの屋根の家には、パラボラアンテナが取り付けてあった。



このサッシを眺めならが食事が出来るレストラン’IL TERRAZZINO’



店の入り口から食卓に着くまでの演出がすでにご馳走だが、ここでは魚料理を頂いた。
綺麗で涼しくて、さすがにこういうところは日本では無い(たぶん)。





タラのローストを食べたが、この手のイタリア料理は基本的にはシンプル。
もちろん値段が高ければわからないが、魚を焼いたものに塩とレモンをかけただけのものだった。
トマトソースが掛かっているのもあるが、やはり僕は大根おろしと醤油と、暖かい大盛りご飯が欲しいところだ。
でも、パンは何処でも美味しい。さすがに最後のほうは飽きたけど。



日向は暑いが、日陰に入ると涼しい









何気ない風景だが、どこも静かで美しい。
途中の路地の売店で、サッカーのユニフォームを着た少年が一生懸命お土産のアピールをしていた。
その後もチョコチョコと後ろをついてきたが、途中であきらめて水をがぶ飲みしてた。






現地の少年と、黙々と商売をするおじさん


その後はもっと南の、イタリア半島の長靴のかかとにあるアルベロベッロに行く。
アルベロベッロと、かなり言いにくい名前だ。
アルベルベルベ...、イタリアの発音は難しそうだ。

途中の田舎道は綺麗なんだけど、同じ風景ばかり。
オリーブ畑と小麦畑と、たまに羊や牛。そして赤い屋根をした家がポツポツ。
小高い山が、まるで屏風岩を思わせる。

少し走ると海が見える景色が出てくるが、またこれもいいところでちょっと寄っていきたかった。
日本の海と違って、磯の香りがしない。ある種のミネラル成分が違うのだろうか。



アドリア海


アルベロベッロと言う街も世界遺産に登録されていて、「トゥルリ」という三角屋根の家々が並ぶ街だ。
「トゥルリ」はこの辺でよく採れる石灰石を、徐々に積み上げただけの屋根を持ち、中は大変涼しいみたいだ。
ここは、同じ石造建物のマテーラとは違い、おとぎの話のような装いだ。






屋根はただ石をのせただけ。2匹の犬がまるでガイドをするかのように、ずっと僕らの後を着いてきた。


この家にも人は住まわれているが、観光客をターゲットとしたお土産やも多数ある。
所々の店先には、日本語で「安い」とか「見るだけでも良いです」とか、勧誘の看板があるのが面白い。
こんな所まで日本人が来るかのと思うと、アジアの一番端にある日本という小さい国は、やはり小さい大国なのだろうか?
まあ、雰囲気は江ノ島にある通りに似ているかな。





まあ、そんな感じで、いよいよ次の日はシチリア島に渡るのだ。


(つづく)






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