- 戸隠山縦走 -


2015.10.3


北アルプスの一般登山道以上に、難所箇所が有ると言われる戸隠山。
その戸隠山に登って来た。

戸隠と言えば戸隠蕎麦を思いだすが、縦に長い長野県の北側に戸隠は位置する。
登山口は戸隠神社の参道を抜けた所にある。





参道は大きな杉並木に囲まれており、朝日を浴びて実に神々しい。

戸隠神社の脇に登山口があり、しっかり登山者カードを記入し入山する。
急な斜面に初っ端から息が上がり、あれよあれよという間に高度を上げていく。
登りはキツイが、なんだか体が浄化されていくみたいでこれはこれで悪くない。





少し登ると、険しい戸隠山の山肌が見えてくる。
妙義山のように見えるが、標高は1904メートルもある。





垂直になった山肌がなんとも迫力が有る。
所々に神様が祀ってあり、中には鎖を使わなくては拝む事も出来ない祠もあった。





さて最初の難所である鎖場。
どうも女性の登山客が怖くて進みが悪くなってるみたいで、少々足止めを食らう。

確かにある程度高所になってくると恐怖心も増してくるが、コツとしては下を見ない事である。
そして一気に登り切る。
日常的にあまりしない行動であるから、僕はこう言うのは好きである。





さらに難所と呼ばれるところは続き、先ほどよりも長い鎖場が目の前に立ちはだかる。
ここでも一人男性が恐怖と闘っていた。
しかも足を攣ってしまったらしく、途中で動きが止まっていた。

上の人がアドバイスや励ましの声を掛けて何とか登り切る事が出来たが、高所恐怖症の人は登らない方が良いかもしれない。
確かに難所と言えば難所かもしれないが、普通に登山をしていたらこう言った箇所は結構あるし正直大した事はなかった。





そして最後の難所の蟻の塔渡りという箇所。

この少し前に、手作りの慰霊碑があった。
そこには『〇〇さん安らかに眠れ。〇〇山岳会』と書かれていて、その生々しさに少々怖じけづく。
と言うか、こう言うものはあまり辞めた方が良いのではないかと思わなくも無いが、それだけ事故が多いと言う事だ。

さて肝心の蟻の塔渡りは、登山道と言うよりも、歩く幅も無い岩の尾根になっている。
ここを歩いて行くのは不可能で(余程命知らずの人は出来るかもしれないが)、前の登山客は馬乗りになって進んでいる。





両側が断崖絶壁になっていて、落ちたら命を落とすか良くても大けがだろう。
しかも頼りになる鎖もザイルも無い。

そこにいざ身を置いてみるとその無防備な高さに、単純に恐怖が取り巻いてきた。

馬乗りでは進む事が出来ないので、ゆっくりと態勢を替えて猫のように四つん這いになる。
下を見ないようにしたいがそう言う訳にも行かず、僅かにできた石の突起を頼りに少しずつ前進する。
万が一バランスを崩し落ちてしまったら...などと考えると足が震えてきそうで前に神経を集中し進む。





後ろから着いてくる相棒は「デッドオアアライブ!」とか何やら訳の分からない事を叫んでいるが、気持ちは分からなくはない。
とにかく落ちるなと言う事だ。



八ヶ岳とその後ろに富士山、そして右手に槍ヶ岳も見える


そこを渡り切ると、安堵と共に絶景が広がる。
まあみんな良く渡るのものだなあと思うが、良く見ると少し下に巻き道もしっかり有るみたいだった。

それにしてもなぜ鎖もザイルも無いのかと思ったが、前にいた方が「鎖の弛みでバランスを崩してしまう」との事だった。なるほど。





この難所を越えれば頂上は近い。
その頂上の前に八方睨と言う箇所が有るが、頂上はもう少し先。



八方睨周辺から見える西岳と、その後ろは白馬岳が見える





そして予定よりも早く頂上へ着いた。
後方に見えるのは高妻山と言う山。

風も無く少々日差しが強いが、実に天気が良い。
今年は3回登山をしたが、3回とも好天に恵まれた。

僕の前に歩いていたお兄さんは先週もこの周辺をトレッキングしてたとの事だが、その時の天気は最悪だったとか。
そんな悪天候に、先ほどの鎖場や難所はちょっと勘弁だよなあと思った。





それからアップダウンの縦走路が続く。
所々、落ちたらアウトの断崖絶壁の箇所が有り、慎重にトラバースしていく。





そんな狭い登山道が続くので、適当な場所を確保できずつい食事を取り損ねた。
結局、午後の遅い時間に登山道のちょっとしたスペースで休憩をしたのだ。





木々は赤く染まって紅葉も綺麗だが、下山までは結構な距離の縦走路だ。





一不動避難小屋が見えれば右手に牧場までの下山道が有る。





下山道は、所々から湧水が流れていて、まるで川の様になっていた。
防水性のゴアテックスの靴だから良いが、防水性がないものだと直ぐに濡れてしまうだろう。

その湧水はあまりにも綺麗で、それに喉も渇いていた事もあり、誘惑に負けて一口飲んでみた。
これが冷たくて実に美味い。

この源流がいずれは川になって、そして海に流れて行くのだなあと思うと自然の壮大さを感じる。
大河の流れも一滴の雫からなのである。





沢と言うか川のような下山道を下り、やっとの事で牧場も見えたきた。





最後の最後まで好天に恵まれた山旅であった。
疲労感はあまり無かったが、とにかく無事に下山できたので良かった。





牧場には牛のほか、馬ものんびりと草を頬張っていた。





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