- 深田久弥、終焉の地 -


2015.4.18


深田久弥さんと言う方は、作家で百名山の名付け親でもある。
今回はその、深田久弥さんが亡くなった最後の山である茅ヶ岳に登る。

茅ヶ岳は、山梨県と長野県の県境にあり、標高は1703メートル。
4月に登る山としては雪も無く、僕らには適していると言う事でそこに決めた。

早朝、新宿からあずさ一号で韮崎で降り、そこからバスで登山口である深田公園に向かうと、すでに登山客で溢れていた。
ちょうど次の日が、深田際という深田久弥の急逝を偲ぶ地元のお祭りがあるとの事だった。





この日は、雨の心配もないくらいに晴天だ。
歩いていると直ぐに熱くなり、Tシャツで登る事にする。

今年から毎日スクワットをやり始めたのだが、その効果が出たのか分からないが非常にコンディションが良い。
まだ緩やかな登山道だが、田中陽希さんみたく軽やかな足取りで登っていく。

途中、女岩と言う唯一の水場が有るのだが、ここは岩盤が崩れて立ち入り禁止の為、水は登山口で確保してきた。
この女岩辺りから、急な登りが続く。





すると、30名くらいの山岳会の集団が前をゆっくりと登っていた。
しんがりの男性が「先に行きますか?」と声を掛けてくれたが、さすがに狭い箇所なので危険なので追い越すのは後にした。

それにしても年配の集団だから進むのが遅く、ゴールデンウィークの高速道路並みに渋滞している。
進んでは止まって、また進んでといった感じで、なかなか前に進まない。



結構な急斜面


しばし、その集団の後に着きゆっくりと登る事にするが、今まで軽やかに登って来たのにテンポが狂ってしまう。
僕らの後の数組の登山者が、集団の列に追い付いた所で、やっとの事でしんがりの人が前方の人に指示を出してくれた。

ここで一気に「すいません、すいません」と集団を抜くのだが、急いで登った為に体力を使わざるを得なかった。
まあ、かなりの急登なので普通に登っていても疲れるだろうな。





8合目か9合目位だろうか、深田久弥先生終焉の地と掘られたひっそりと石碑が立っていた。
深田久弥は、ここでコーヒーを飲んでいる時に、脳卒中で倒れて亡くなったとの事だった。

ある意味好きな山で死ぬ事が出来たから、それはそれで幸せな死にかたなのかも知れないと思う。





それでも予定よりも30分早く正午前に頂上に着いた。
頂上はそれ程広くないので、結構な登山客が至る所で休憩していたが、穏やかで静謐だった。

右手に八ヶ岳、左手に南アルプス、北側に金峰山などを望む事が出来る。
ちなみにこの茅ヶ岳は偽八ヶ岳と呼ばれていて、何となく全体の見た目が八ヶ岳の形に似ているのでそう呼ばれている。





その辺の藪に陣地を確保し食事をする。

ガスバーナーでお湯を沸かそうとした時、少し斜めになってる所にガスを置いたためか、水を注ぐとクッカーがガタっと倒れてしまった。
慌てて喰いとめたが、注いだ水は半分以上零れてしまったので、2人前食べたかったラーメンを一人前にして食べた。

相棒は最近コーヒーに凝っているらしく、しっかりとレギュラーコーヒーを淹れていた。
聞くと2キロで4000円と言う豆を購入したらしく、結構美味しいとの事。


さて腹も膨れた所で、今度は隣にある金ヶ岳山頂目指す。
一旦、下ってからまた登るパターンである。





金ヶ岳方面に行く登山者は少なく、山頂もルートも地味な感じであった。
人も少なかったので、こちらで休憩をすれば良かったかなと。
そして下山し、ふれあいの里というキャンプ場まで降りる。



右の山が茅ヶ岳。遠くにうっすらと富士山。


下山は、あまり人が居ないので、懐メロを歌いながら降りる。
なかなか楽ちんコースなのだが、なぜか鼻水が止まらない。
何度も鼻をかんだが、もしやこれは花粉症ではないかと思った。
今年のスギ花粉は何とかパスしたが、たぶんこれはヒノキ花粉であろう。





展望も開けて、目の前に南アルプスが見える。
3000メーター級の山々は、まだ雪を被っているが、こんな時にも登っている人は居るのだろう。
(丁度この日、甲斐駒ケ岳山頂付近で二人滑落したと後にニュースで知った)





一般道に出たら、林道を通りキャンプ場の脇を抜けていく。
ここで少し迷ってしまい、少々時間を喰ってしまった。

その後、一般道に出てバス停まで真っ直ぐな道をひたすら歩く。
バスは一時間に一本走っているが、もしかしたら予定していた時刻より、一時間早いバスに乗れるかもしれない。
広々とした景色がまるで北海道を思わせ、のんびりとバスを待っているのも良いかもしれない。



右手に八ヶ岳も見える


天気も良く、僕の首や腕は結構真っ赤に日焼けしていた。

♪真っ直ぐに伸びるオンザロード...

相棒は、また気持ちよさそうにハマショーを歌っていたり、「サイコー!」などと山に向かって叫んでいる。

15時台のバスの時刻に、間に合うか間に合わないかの微妙なタイミングではある。
だから、どうせならその15時台のバスに乗りたいと言う気持ちが足を急がせた。





と、その時、青い車が相棒の脇でフト止まったかと思うとまた走って行った。

何事かと聞くと、「車に乗って行かないか?」と声を掛けられたとか。
「どんな人だった?」と問えば、「若い女性だった」と。
え!?なんで断るんだよと僕が言うと、相棒は「いや、もうバス停そこだから」と数メーター先の交差点を指差した。

15時台には間に合わないと思ったが(予定では16時台のバスに乗るつもりだった)、以外にも早く着いたのだ。
いやあ、何だかんだ下山もしんどかった。



あのてっぺんから降りてきた


バス停でバスを待っていると、反対車線から来たバスが僕らの前で停車した。
運転手が窓を開け、「温泉に入っていくか?」と声を掛けてきた。
もちろん僕らは韮崎駅に向かうので、そのバスには乗らないと断ったが、先ほどの女性と言いイヤハヤ地元の温かさを感じた。


深田久弥の名言に、
『百の頂きに 百の喜びあり』
と言ったものが有る。


相棒は最後、そう言えばスタート時にその石碑を見るのを忘れたと少し後悔していた。






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